【本紹介】とにかく死なないための「しょぼい投資」の話 著者:えらいてんちょう

えらいてんちょうこと、矢内東紀さんが書いた本です。

 

矢内さんの本では「しょぼい起業で生きていく」が有名かと思います。

 

 

この本は、世に出回るお金を儲けることを目的とする投資の本とは一線を画し、

「とにかく最低限生きていくためにはどういった投資をすべきか」という視点で書かれています。

 

 

この本ではまず、投資における「利益」や「価値」は、必ずしもお金に変換できるものだけではないと述べています。

 

例えば、筋トレや英語の勉強も、自分の余暇の時間を原資とした身体や知識への投資です。

 

 

そして、なんとなく将来が不安だから、という漠然とした理由で、利益が出る基本的な仕組みを理解しないままお金を追い求めると、儲け話に引っ掛かり失敗しやすいと述べています。

 

 

30年前のバブルの時に今の社会が予想できなかったのと同様、30年後の社会は誰にもわかりません。

 

不確実性に溢れている社会で、現在世に溢れている投資方法が今後も通用するとも言えません。

 

 

 

では、たとえ今お金を持っていない状態でも、どんなものに投資をしておけば最低限生きていけるかという点について、この本では「心理的債権」を提示しています。

 

心理的債権とは、相手に贈り物をしたり、相手を助けたりといったことで生まれるもの(恩と言い換えられるかもしれません)です。
 

そういった心理的債権は、必ずしも自分に利益が返ってくるものではないにしても、身の回りの人と心理的債権を結んでおけば、自分がピンチになった時に助けてくれる人が現れると述べています。

 

 

例えばこのコロナ渦でも、

チェーンの飲食店が撤退する中、個人経営のお店が常連のお客さんに助けられて何とかお店をつなぐ事ができた、

といった出来事をニュースで観ましたが、まさに心理的債権が大きな利益を生んだ出来事かと思います。

 

 

人との繋がりを大事にして周りの人を助ける、という一見投資とは無関係に見えることが、後々になって自分を助けてくれる一番の投資というのが、この本の内容のポイントかと思います。

 

 

個人的には、この本で書かれている内容は、信頼とつながりを大事にして、高いパフォーマンスを出している投資信託である「鎌倉投信」とも似た考え方かと思いました。

 

 

この本を読んで良かったのは、

お金以外の自分が持っている資源(余暇の時間や、仕事の分野に関する知識など)に気付くことができ、それらを大切にしながら色々な事にチャレンジできる考え方を持てたことです。

 

この本の中では、投資の基本的な内容や、投資話に騙されないポイントなども書かれており、私のようなあまり投資に詳しくない人にも役立つ内容ですので、オススメです。