【書評】理科系の読書術 鎌田浩毅著 中公新書

人間・環境科学分野の教授である著者が記した本書。


大学で勤務するなか、「本を読むのが苦行です」と告白する学生を見てきた著者が、理科系の合理的な読書術を伝授しています。

 

自分はこれまで、「読書とはその本の内容全てを理解すること」と考え、読書するぞ!と意気込んでは集中力が続かずに途中で投げ出していました。

 

本書では、読書には「音楽的な読書」と「絵画的な読書」があると述べています。

「音楽的な読書」とは、小説など文学作品を読むときに効果的な読書のことであり、最初から順番に最後まで読み進めることを前提に、そうすることでその本の良さを味わえるように書かれいる本の読み方を指します。

 

一方で「絵画的な読書」とは、文学作品以外の書物の読み方を指し、本書の読書術で読んだ方が楽に、かつ効率よく読み進められると述べています。一冊の本を限られた時間で最後まで読破するには、「絵画的な読書」が適しているとのことです。

 

「絵画的な読書」に関して、つまらないと感じたり、理解できない部分は読み飛ばしても良いと述べられており、心が軽くなりました。

 

また、本書では「不完全法」という考え方を紹介しています。

読書においては、完璧に理解しようとして途中で挫折するよりは、理解できない部分は飛ばしてでも最後まで読むことが有効という考えです。

併せてそれは仕事にも応用でき、「期限」と「質」のバランスを念頭に置き、完璧な達成ではなく、最後までやり抜くことが大事だと述べています。

 

これまで紹介した考え方以外にも、読書、そして仕事にも役立つ考え方が紹介されていました。

この本を読んだことで、以前より気楽に本を読むことができるようになりました。

 

理系の方にも、文系の方にもおススメの一冊です。