世界を変える5つのテクノロジー 山本康正著 祥伝社新書

2015年の国連サミットにおいて加盟国193ヵ国によって採択されたのがSDGs(持続可能な開発目標)です。

 

SDGsでは、2030年までに達成を目指している人権・環境・経済・平和といった分野の17項目の目標を定めています。

 

また、それぞれの目標を細分化した169のターゲット(具体的目標)、232の評価指標が定められています。

 

 

SDGsにより掲げられた環境・試験・食料・貧困問題など、社会が抱える課題を解決するにはテクノロジーの力が不可欠と著者は述べています。

 

世界中の企業がテクノロジーを駆使して社会課題の解決に取り組んでいます。

 

本書では、AppleGoogle,Teslaなど、社会課題の解決に取り組む企業の取り組みを紹介しています。

 

その一方で、日本企業のSDGsへの取り組みの遅れを指摘しています。

 

 

特に印象的だったのが、世界に対して遅れを取る日本の自動車業界についての説明です。

 

日本のガソリン自動車産業は、鉄鋼、プレス、金型などの技術を駆使する専門部品会社など、自動車メーカをトップに数多くの企業を取り込んだ一大産業であり、各企業が高い技術を持っています。

 

産業規模が大きく、高度な技術を持っていることがEV(電気自動車)に舵を切れない要因となっています。

 

その一方で世界では着々とEV(電気自動車)シフトが進んでいます。

 

例えば中国では国策でEVシフトを推進しており、地場メーカが躍進を続けています。

 

2020年には中国の自動車メーカが発売した小型EV車が大ヒットしました。

価格は42万円です。

 

こうした安価な外国製EVが上陸してきたときの日本の自動車産業が受ける衝撃は大きいものになるでしょう。

 

産業規模が大きく、高度な技術を持っていることがEVシフトの足かせになり世界に遅れを取っているこの状況は、iphoneの上陸によりガラケーが淘汰された過去と重なって見えました。

 

 

この本を読んで、SDGs関連のテクノロジー分野への取り組みで、日本が世界に比べて遅れを取っていることがわかりました。

 

世界の動きを捉えていくために、主体的に情報を取りに行くことの必要性に気付かせる一冊でした。